Webライターと営業職の3つの違い
こんにちは、me_meです。
今回は私の本業である営業職とWebライターの違いに着目してみます。
「全然違うでしょ、そんなこと分かってるけど」
と思われる方も多いと思いますが、そうでしょうか?
Webライターは”読む”という行動を起こさせたり、”購入したい”と思わせるような文章を書かなければいけません。この訴求する行為はまさに営業の考え方です。
これまで営業の仕事で、このサイクルを何度も経験してきました。
- 顕在・潜在ニーズを発掘
- 提案を行う
- 行動に移してもらう
ライターでも同じサイクルを回しており、基本的な考え方は同じです。
そのため、営業経験者はライターに向いている方が多いと思います。
しかし、経験してみて仕事の性質が全く違うことがわかりました。
営業とライターの相違点について、経験からわかったことをまとめます。
仕事のマインド変えるという点で誰かの参考になれば幸いです。
1.提案する視点が違う
主語の不在
通常の営業活動は、企業の営業担当が特定のターゲットに対して提案活動を行います。
・業界全体が~という状況の中、貴社におかれましても〇〇にお悩みかと思います。
そこで弊社は、課題解決に向けて××をご提案いたします。
このような提案を行ったことがある人も多いのではないでしょうか。
主語が「弊社」や「貴社/御社」と明確で、「こうしてほしい、こうすべきだ」と提案する側が気持ちを乗せやすいのも特徴です。
一方のライターは、曖昧な存在が不特定のターゲットに対して提案活動を行います。
・最近~という状況が続きますが、〇〇にお困りの方はいませんか?
今回は××についてまとめたので、参考にしてみてください。
私も使っているライターの定型文ですね。
案件にもよりますが、多くの場合は主語が曖昧で読み手に判断を委ねているのが特徴です。
不確定な存在
なぜライターが曖昧な存在なのかを説明するために、それぞれの置かれている立場のイメージを作成したのでご覧ください。
営業が会社の当事者として活動するのに対し、ライターは外部の第三者という立場にいます。あくまで外部委託先です。
ライターの仕事の多くは所属もない無記名であり、ターゲットはどこの誰が書いたかなど意識することもありません。そのため、自己主張もなければ主語も不要なのです。
私が初めに躓いたのはこの視点の違いでした。
どの立場で書けばよいのかわからず、文章の書きだしに時間がかかったものです。
その後、何度か経験するうちに主語を入れない書き方は公平な立場になれることがわかりました。
主語があるとどこか独善的なものになりがちですが、第三者視点は一線を引いた文章に仕上がります。
どこにも属さない人間が冷静に評価している記事というのは、どこか信頼感が出てきませんか?雑誌でも、独自比較など銘打って特集をしている理由はここにあります。
ライターに求められているのは、こういった他者感なのです。
2.文書の位置づけが違う
コミュニケーションのきっかけ
営業は複数のコミュニケーションを合わせて活動します。
特に対話を重視する傾向にあり、ドキュメントは会話のキーワードのみを並べたものも少なくありません。
”チューリップ”という単語だけを資料で表示
プレゼンター「皆さんはこの単語を聞いてどんな姿を思い浮かべましたか?
そちらの方は何色だと思いました?そちらの方は?
今回紹介するチューリップはちらです」
黄色いチューリップの写真を表示
昔はプレゼン資料も文字の書き込みが多かったですが、最近は文字をそぎ落とした方がスタイリッシュかつプレゼン効果が高いとされています。
スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンが流行したのが背景にあるかもしれません。
一方でライターのコミュニケーションは、一方向のドキュメントしかありません。
どんなにワードセンスがある人も、内容に不足があれば埋もれてしまいます。
そのため、一つのコンテンツに数千字の書き込みが求められるのです。
春の風物詩であるチューリップをご紹介します。
チューリップというと赤色を想像される方が多いかと思いますが、今回は黄色いチューリップに注目しました。開花時期は早いものは3月から~…(略)
しかし冗長な文章も読み手に嫌われるので、さじ加減が本当に難しいです。
自分でも意識していなかった癖が見つかるので、修正指示や指摘は真摯に受け入れましょう。
個性は必要ない
私の経験ですが、ライター文章で個性を出そうとするのはお勧めしません。
実際に初めての案件で、自分としては「小粋な言い回し」と思って書いたことが、その後クライアントによりバッサリ切り取られていました。
他のコミュニケーション方法がある場合、多少誤解を生む表現も笑い話にできます。
しかし、ライターの文章は誤解を与えてしまうとおしまいです。
その時の表現は、読む人によってはあまりよくない印象を与える内容だったと思い素直に反省しました。
まずは基本的な技術を身に付けることに集中し、いつか名指しで記事の執筆依頼をいただける日を目指して実績を重ねていくことにします。
3.仕事完了の実感が違う
顧客は満足したのか?
ライターの仕事は、顧客が満足したか判断するのがとても難しいです。
閲覧数は一つの基準になりますが、多ければ満足したのか?といえば違いますよね。
営業の仕事は納品後も直接意見を伺うことができます。
そこで叱られることもあれば、感謝の言葉をいただくこともありますね。
それに比べてライターの仕事は納品後、クライアントの反応以外その先の顧客満足度は知る由もありません。
クライアントとも単発でお別れすることもあるので、本当によかったのかとヤキモキすることも多いです。
この気持ちを解消するには、実績と勉強を重ねるしかないのだろうと思います。
しばらくは自分で満足できる文章か、一人二役で推敲を重ねるほかありません。
そもそもクライアントは満足したのか?
連絡が取れるため直接意見を伺える相手なのですが、文字ベースのやりとりだけでは真意がわかりづらいと感じます。また私が失敗した経験を例にあげます。
仕上げた記事を納品前に確認してもらい、納品指示の連絡をいただきました。
修正指示もなかったため意気揚々と納品したのですが、検収後にいただいた評価はあまり良くありませんでした。
「評価がよくないのになぜ修正指示がなかったのだろう」と初めは戸惑いましたが、「修正させても満足できる出来にならない」と判断されたのだと考えるに至りました。
クライアントが求めていたのは、大衆に広く受け入れられる記事でした。
それに対して私は、自分が面白いと思う独りよがりな記事を書いていたのです。
根本的な考え方が違うことで、クライアントから見限られてしまった失敗でした。
ライターの仕事は終始文字だけで完結することが多いです。
だからこそ、行間を読むことを大切にしなければならないと痛感しました。
クライアントと言い合える信頼関係を築くためにも、自分の思いから一歩引いた位置から冷静に物事を見渡す力をつける必要があるのです。
まとめ
営業職の人間がライターに向いているという考えは変わりません。
しかし、視点やアプローチ方法の違いを認識しなければライターとしてやっていけないこともわかってきました。
お金をいただく以上、文章を書くプロとして多角的な視点から物を見通せる力を身に付けていきたいですね。